【認知症の母が自転車で遠く県外に行ってしまい迷子になって家族で捜索した話】「長距離サイクリングで迷子(2019年1月某日)」

暗闇で叫ぶ
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打ち合わせ

その日は、親戚のおじいさんのお葬式についての打ち合わせがありました。埼玉県所沢市の葬儀屋さんに、18時に集まりました。私、夫のA男、B子、おじいさんの成年後見人のK氏です。A男とB子は職場からかけつけ、私は自宅から車で向かいました。B子はしっかり者のため、このような大事な打ち合わせに同席してもらいました。

おじいさんは、入居していた施設で息を引き取りました。子供がいなかったため、身元引受人として、たあさんが指定されていました。たあさんが認知症になったため、私が身元引受人の代理になっていました。お葬式はたあさんの長男であるA男が喪主と務めることとなりました。

打ち合わせは、20時過ぎに終了しました。お葬式やお通夜に関する諸々の重要事項が決定し、ドッと疲れが出ていました。ここでB子がスマホを確認すると、たあさんからの電話の履歴が何件もありました。

B子

どうしよう! お母さんが遠くにいっちゃってる!

全員でたあさんの現在位置をグーグルマップで確認すると、なんと! たあさんは自宅の埼玉県春日部市からはるか遠くの茨城県にいました! たいへんです。急いで捜索に向かうことになりました。3人に緊張が走ります。

A男

すぐに車で探しに行こう!

捜索開始

埼玉県所沢市から高速にのり茨城県へ

運良く私は車できていたので、3人ですぐに乗り込み、所沢から高速で向かうことにしました。外は当然もう真っ暗です。運転はA男が、助手席で私がナビをします。たあさんの現在地近くの目標物を指定し、グーグルマップで検索すると、関越自動車道から圏央道への経路を案内されました。すぐに高速に乗り、五霞インターチェンジというところで下りました。

その間、後部座席にいるB子はたあさんと電話で話しをし、発見するための手がかりを聞き出しています。

たあさんいわく「車がビュンビュン走っていて怖いから自転車を押して歩いている」「歩道がない」

一度電話が切れて、次の電話では
「橋を渡ったら北千住だと思ったがどうも違う」
「今いる道には橋がない。上には橋がある。橋を渡りたいが、自転車では上にいけないので、自転車を置いてきた」「一台置いてあるからその隣に置いた」
「上に大きな道路があり自転車はその下に置いてきた」
「大きな照明がみえる」

たあさんが田んぼの中に?!

そうこうするうちに、たあさんの現在地が「新利根川橋」という大きなバイパスの橋を渡った先の、田んぼの中にありました。たあさんは、田んぼの中を歩いている?!

車でその橋を渡り、細い道を下りて田んぼの近くへとはいっていきました。脇道に車を止めて、グーグルマップの現在地(たあさんの表示はT)が示す方向へむかって叫びました!

 「おかあさぁぁぁ~ん!」

shout-in-dark
暗闇に向かって叫ぶ私

あたりは、人家がほとんどなく田んぼが広がる地域で、明かりはほとんどありませんでした。暗闇にむかって必死に何度も叫びながら、ふと私の頭の中では、いろんな考えがぐるぐる駆け巡っていました。

「このまま見つからず、夜が明ければたあさんの命が危ない。まずは警察に捜索願いを出すんだろうな。そうしたら警察にいろいろ事情を聞かれるんだろうな。自力で捜索する努力をしているからある程度は自分で納得できるかな、、」などなど。

今度は川の中に?!

他の2人も大声を出して叫んでいました。が、しばらくして、もう一度グーグルマップでたあさんの位置を確認すると、今度は、利根川の中にポーンと飛んでいました。

location-in-river
川の中に現在地表示があるイメージ

「ええっ? どういうこと?」「まさか、おかあさんが。川の中に入るはずないよね?!」

そうです。このたあさんの現在地表示は正確ではありませんでした。

グーグルマップは、衛星や近くのWi-Fiネットワーク、そして基地局からの情報を利用して現在地を特定しているそうです。なので、住宅地がほとんどない地域では基地局もまばらで、現在地表示が不正確になるのです!

Google マップは、次のような情報からユーザーの現在地を推測します。

  • GPS: 衛星を使用して、測定誤差 20 メートル以内で現在地を特定します。建物内や地下にいるときは、GPS の精度が落ちる場合があります。
  • Wi-Fi: 近くの Wi-Fi ネットワークを使用して現在地を特定します。
  • 基地局: モバイルデータに接続している場合、最大数千メートル以内の誤差の範囲で現在地を特定します。
https://support.google.com/maps/answer/2839911?hl=ja&co=GENIE.Platform%3DAndroid

その後も、たあさんの位置は橋の上に飛んだり、埼玉県側の川岸にきたり、茨城県側の川岸にきたりと転々としました。

橋の上を重点的に捜索する

「これはたぶん橋の上を行ったり来たりしているんじゃないか?!」 A男がひらめきました。

「橋の上を探そう!」 A男が捜索方針を決定します。

私たちは、再び車に乗り込み、バイパスである新利根川橋を埼玉県方面に走りました。

「僕は運転しているから、2人でよく左右をみてお母さんを探して!」 A男が指示を出します。
「わかった!」 私とB子が返事をします。

しかし、橋はけっこう車の通行があり、歩行者は誰もいません。
「だれも歩いていないよ、、、、」B子がつぶやきます。

「もう一度、Uターンするよ」 A男が声をかけます。「ん~、みつからないよ、、」と私。

「絶対橋を歩いているはずだよ、ちゃんとみて!」 A男が冷静に指示を出します。

ついに発見!

「いた!」 

みつけたのは運転者であるA男でした。

橋を3往復ぐらいしたところでしょうか。車が茨城県方面を走行中に左の歩道をうなだれてトボトボと歩く、白髪まじりのおばあさんが見えました。たあさんでした。まわりの車はスピードを出しているのですぐには車を止められない状態でした。A男がスキを見て、橋の途中で短時間で停車させ、すぐに私が車をおりました。私はすぐさま車道と歩道をわける柵を乗り越えて、たあさんに駆け寄りました。車は橋を渡りきり脇道に入って止まっていてくれました。

たあさんは、寒さで震えているようでした。でも、すぐに私に気づき、安心したようでした。

「おかあさん! 大丈夫?」

「あ-、R子さん。寒いわ。」

「この先に車を止めているから頑張ってもう少し歩きましょうね」 私はたあさんに話しかけました。

いやあ、無事にたあさんを発見できてよかったです。
時刻は22時を過ぎていました。
たあさんを車に乗せ、寒いというので、コンビニに向かい温かい缶コーヒーを買って飲ませました。たあさんを家に送り届けたのが23時半すぎでした。

私達が帰宅したのは夜中の1時を過ぎていました。たいへんな1日が終わりました。

たあさんの自転車は、また改めて探しにいくことになりました。ヤレヤレ、、。

たあさんのグーグルマップタイムライン

翌日、パソコンでグーグルマップをみて、この日のたあさんの行動、移動経路を検証してみました。

ーー中略ーー

 サイクリング 1.5km 14分

15:24~15:56 マクドナルド4号線春日部店(埼玉県春日部市)

 サイクリング 35.4km 3時間45分

ーー中略ーー

19:45~19:57 江川(茨城県猿島郡五森町)

 サイクリング 7.2km 55分

20:52~20:58 塚崎(茨城県猿島郡境町)

 サイクリング 1.2km 4分

21:02~21:35 新利根川橋(茨城県猿島郡五森町大福田春日部古河バイパス)

 徒歩 1.3km 34分

22:00~22:26 新利根川橋(茨城県猿島郡五森町大福田春日部古河バイパス)

 徒歩 1.2km 27分

22:52~22:59 大福田(茨城県猿島郡五森町)

車 13km 18分

23:16~23:23 ファミリーマート杉戸椿店(埼玉県北葛飾郡杉戸椿)

車 8.1km 10分

23:33 自宅

このタイムラインから当日の行動を予想してみるとーーー

  1. マクドナルドで腹ごしらえ
  2. その後、寄り道しながら国道4号線を北上
  3. どんどん北上を続け、私達が打合せをしている間に県境を越える
  4. 五霞インターチェンジ近くの「江川」というところで少しとどまる
  5. 私達が捜索のため高速道路で移動していたころ、たあさんはすでに新利根川橋を渡り「塚崎」という地区にいた
  6. 橋を渡った先のどこかで自転車を置いた
  7. 橋を歩いて埼玉県方面に移動した

新利根川橋は1.5kmぐらいの長さがあるので、自転車をおいた後、端まで歩いていたかもしれません。私と会ったのが、22時ごろなので1時間は橋の上にいたのではないでしょうか?寒くてさぞ心細かったでしょう。記憶はないでしょうけど。

たあさんのGoogle マップ タイムラインまとめ 

サイクリング 45.3km 5時間3分
 徒歩 2.6km 1時間1分
 車 21.4km 30分

グーグルマップでのタイムラインの合計をみてみると、上記のようになります。なんと、たあさんは5時間も自転車をこいでいました! すごいです。

グーグルマップの地図でみるタイムラインはこちら↓
(注1:主な自転車ルートを示しています。実際、たあさんはあちこち寄り道していました。)

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